空港や港湾、平時でも訓練に利用 県民生活や経済活動の制限の可能性も<安保3文書と沖縄>


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自衛隊統合演習(実動演習)で、民間船舶から陸揚げされる陸上自衛隊の装甲車=2021年11月21日、中城湾港新港地区

 3文書は、沖縄を含む南西諸島を重点に置く形で、自衛隊や海上保安庁のニーズに基づいて空港や港湾などの整備・機能強化に政府として取り組み、平時における訓練も含めて公共インフラの使用を促進する方針を掲げている。地方自治体や住民の協力を得ながら利用ルールの策定も進めるとする。ただ、防衛施設としての色合いが強まれば、県民生活や経済活動への制限につながる可能性があるほか、有事における「標的化」リスクが高まる懸念もある。

 平時からの訓練に加え、島しょであることを踏まえた国民保護での使用や有事における部隊展開も、公共インフラ利用促進の目的としている。

 3文書では自衛隊などが利活用したい施設や地域は示しておらず、政府は今後検討するとしている。戦闘機や輸送機が円滑に離着陸できる約3千メートルの滑走路がある下地島空港(宮古島市)などを念頭に置いているとみられる。

 11月の日米共同統合演習「キーン・ソード」でも県内の空港や港湾が使用されるなど、県内では平時使用に向けた地ならし的な動きもみられ、県民からの反発もある。

 玉城デニー知事は県議会11月定例会一般質問で「基本的に県管理の港湾、空港などの管理運営については、県と十分な事前協議が必要だ」として、なし崩し的な公共インフラの軍事利用をけん制した。

(大嶺雅俊)