学校給食費「値上げは避けたいが…」年間400万円の赤字の自治体も 限られた予算、物価高騰が直撃 沖縄


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 食材費や燃料費の高騰に直面し、次年度以降の給食費を値上げするかどうか。各自治体は限られた予算と保護者への配慮の間で、四苦八苦している。現状の保護者負担分では食材代すらまかなえず「赤字」が続く自治体もある。だが、コロナ禍で多くの家計が苦しい中、値上げに踏み切るのは避けたい市町村からは、国や県に補助を求める声が上がっている。

 「年間400万円の赤字だ」。国の地方創生臨時交付金を活用し、来年3月まで無償化を実施中の渡嘉敷村。約40年給食費を据え置いており、これまで小中学校ともに、赤字が常態化していた。物価高もあり収支を合わせるには5千円ほどに値上げしなければならない。実際の値上げ幅や村で負担するかを含め、現時点で未定だが、5年程かけて段階的に値上げしていく予定だ。

 値上げについては「検討中」としている伊平屋村の担当者は「2年前に値上げしたばかりで、すぐには難しい」と苦悩をにじませる。再度値上げに踏み切るかは、他市町村の動向を見ながら判断するという。

 給食費を一部補助している、ある離島の関係者も「これほどの上昇は今までにない。栄養士も納入業者も工夫しているのだが…」と声を落とした。

 一方、嘉手納町は、無償化を維持しつつも、町が負担する給食費の予算を10~20%値上げする予定だ。「2014年を最後に値上げをしていなかった。8年間の積み重ねもある」としている。

 今年に入り原油価格などが急騰したことを受け、給食費の上げ時だと判断した。町が全額補助をするため、保護者負担はない。値上げは「安全で安心な給食を提供するためには仕方がない」と話した。

 市町村の予算で補助や無償化が厳しい地域もある。保護者負担を増やさずに現状の給食を維持するため、八重瀬町や竹富町など各自治体は国や県からの財源面の補助を望んでいる。玉城デニー知事は給食費無償化を公約に掲げている。県は実現に向け、他県の取り組みを情報収集している。具体的な時期や財源などについては来年度に市町村との協議などを踏まえ検討する方針で、新年度4月からの開始は厳しそうだ。(照屋大哲まとめ)