パラシュート訓練への抗議を否決 うるま市議会 反対多数「文面非論理的」


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津堅島パラシュート降下訓練の中止を求める意見書と抗議決議を反対多数で否決するうるま市議会=21日、うるま市議会

 【うるま】7日に津堅島訓練場水域で米軍パラシュート降下訓練が実施されたことを受け、うるま市議会(比嘉直人議長)は21日の定例会で、金城加奈栄氏(共産)が発議した同訓練の中止を求める意見書案と抗議決議案を、反対多数で否決した。

 賛成は金城氏のほか、野党議員6人と保守系市議の松田久男氏の計8人。漁港がある平敷屋出身の大城直氏が欠席、真栄城隆氏(公明)が退席した。与党や中立の保守系市議19人が反対した。議会は多くの市民が傍聴した。

 意見書案は、在沖米軍基地の使用に関する取り決めを記した日米合同委員会合意議事録「5・15メモ」で水域の使用条件に水陸両用訓練とあり、パラシュート降下訓練について触れていない点を指摘。定期船や漁船などが頻繁に航行しており、一歩間違えれば重大な事故につながるとした。

 下門勝氏は反対の立場で提出理由や訓練の現状認識などについて質疑した。「訓練の通告期間中は軍隊が使用権を持ち、軍隊活動に支障をきたさないなら民間に航行を許可していると解釈できる。民間船舶が軍隊に許可しているかのような文面は非論理的だ」と主張した。

 保守系の松田氏は賛成の立場から討論した。「パラシュート降下や物資投下は想定外の気象条件により訓練域外に着水することがある」とした上で「漁船、貨物船、観光船、個人のレジャーボートなどが行き交う海域である。万が一重大な事故が発生すれば日米安保を揺るがす事態になる」と指摘した。
 (古川峻)