絶滅危惧種の猛禽(もうきん)類、サシバの国内最大級の越冬地とされる鹿児島・奄美大島で、関西の野鳥愛好団体が鳴き声と行動の関係を調べ、仲間同士の「会話」を解明しようとしている。鳴き方が数種類あることが分かっており、専門家はサシバが状況に応じて何らかのコミュニケーションを取っている可能性を指摘する。
調査は、大阪府を中心に約150人で構成する野鳥愛好団体「とりがくKansai」の小室巧さん(60)らが11月下旬から12月中旬にかけて実施した。地元でサシバの調査を長年続けている宇検村の与名正三さん(71)の案内で奄美大島の全市町村を車で回った。
サシバは赤褐色の羽が特徴的なタカの仲間で東南アジアなどから飛来する。本州の繁殖地ではペア間で「ピックイー」「クイー」といった鳴き声を交わすが、越冬地である奄美大島でも頻繁に確認した。ただ「イー」の部分が震えないなど異なる部分があったという。
小室さんは「鳴き声には威嚇や求愛の意味があるようだが、声が震える意味は詳しく分かっていない」と話した。サシバの生態に詳しい岩手大の東淳樹講師は「シジュウカラの研究でかなり複雑なコミュニケーションを鳴き声で行っていることが明らかになっている。サシバでも何らかの意味があると考えるのが自然だ」と話した。
(共同通信)