【記者解説】給食費無償化、国や沖縄県の主導で推進必要 市町村で異なる負担に不公平感


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 市町村によって給食費の負担額が異なり子育て世帯に不公平感が生じている。無償化には自治体間の財政規模の壁があり、首長の判断によっても左右されがちだ。どこに住んでいても安心して給食が食べられるよう、国や県が財源を確保し無償化を推進する必要がある。

 低所得世帯は申請すれば就学援助で給食費についても補助を得られるが、援助対象の基準は市町村によって異なる。給食費の無償化の有無と同様に、就学援助でも差が生まれている。子どもが複数いる場合、給食費の負担感の差はより大きい。

 2016年の本紙調査では無償化しているのは5市町村にとどまっていたが、現在は約4倍の19市町村にまで広がった。一方で、物価が高騰しても保護者負担に転嫁しづらく、各市町村の給食担当者は限られた予算で工夫を凝らしている。

 文部科学省によると、全国の公立小中学校の給食費を無償化するには約4400億円かかるという。岸田文雄首相は防衛費を国内総生産(GDP)比2%(約11兆円)に倍増する方針だが、その予算の一部を子どもたちに振り分ければ給食費は十分に賄える。
 (照屋大哲)