五嶋みどり「沖縄は常に心の中に」 デビュー40周年、那覇で来月13日に公演


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五嶋みどり(C)Timothy Greenfield―Sanders

 琉球新報創刊130年と五嶋みどりのデビュー40周年を記念した公演「五嶋みどりヴァイオリン・リサイタル」(琉球新報社主催、那覇市共催)が2023年1月13日、那覇文化芸術劇場なはーとで開催される。五嶋に、デビュー40周年を迎えての思いや、12年ぶり4回目となる沖縄公演への意気込みを聞いた。 (藤村謙吾)

 ―ことし、デビュー40周年を迎えた。

 「私が初めてヴァイオリンを手に取ってから47年、11歳でデビューしたのがついこの間のことのようでもあり、長い道のりだと心晴れない日々もあった。でも、毎回毎回、惜しみなく励ましの拍手を送り続けてくださった皆さまのおかげで、今日を迎えられた。この場を借りて心より感謝を申し上げたい」

 ―これまで演奏活動だけでなく、社会活動も積極的に行ってきた。

 「日本では30年前に“みどり教育財団”という社会活動団体を立ち上げ、ほぼ同時期にニューヨークで“Midori&Friends”の活動を始めた。現在、“みどり教育財団”は“認定NPO法人ミュージック・シェアリング”となり、日本独自の文化にもなじんだ、時代を先駆けた社会活動団体となった。常に『あらゆる人々に本物の音楽を届ける』を理念とし、また後継者を育てるために頑張っている。2007年には国連ピース・メッセンジャーを仰せつかった。一日も早く平和に暮らせる世界が訪れる日を待ち望み、その一助になることがあればと励んでいる」

 ―沖縄では2002年、11年に続いて、12年ぶり4回目の公演となる。

 「4回目の公演とは信じられない。沖縄の海や知人は、常に私の心の中でスクラムを組んでいる。哀しかった過去の歴史や、未来が広がるサンゴ礁に恵まれた大海原を忘れたことはない。一昨年のコンサートは、私が本番直前にインフルエンザにかかり、昨年は新型コロナウイルス感染症のパンデミックで延期になった。やっと今回皆さまと音楽をシェアできる。今から、はやる気持ちを抑えきれない」

 ―今回の沖縄公演ではどんな曲を演奏するか。

 「もちろん、私の好きな曲を選んだ。作曲家も舞台袖から私を励ましてくれるはず。大切な皆さまのひと時に見合える演奏ができればと思っている。演奏する4曲それぞれに国柄、時代、人間性のバックグラウンドが違う。とはいえ、聴く人によれば、プログラム全体から一つのメッセージを受け取られたり、フレーズによってストーリー性を感じられたり、ご自分の人生の経験に重ねられたり、それぞれ。音楽は自由に、聴く人がご自分の感性で受け取るものだと思う」

 ―最後に、沖縄のファンへメッセージを

 「コロナ対策でじかに言葉を交わすことができませんが、精いっぱいの演奏をいたします。お楽しみください」

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 「五嶋みどりヴァイオリン・リサイタル」は午後7時開演(プレイベントが午後6時15分開始)。チケットは全席指定でS席1万円、A席9千円、B席3千円、学生席2千円(当日各千円増し、SS席は完売している)。未就学児の入場不可。問い合わせは琉球新報社広告事業局、電話098(865)5255(平日午前10時~午後5時)


デビュー40年 半生をつづる 来場者に自伝贈呈
 

道程 五嶋みどり

 五嶋みどりがデビュー40周年を記念し、自身の半生をつづる本「道程」(世界文化社、79ページ、非売品)を発刊した。バイオリンを始めた幼少期から10歳での渡米、世界各国での公演など折節の出来事を記した12のエッセーと写真に加え、「求道者たち そのあくなく挑戦」と題して、作曲家の久石譲、俳優の吉永小百合ら各界で活躍する6人との対談を収録した。

 本書は近年、高齢者施設や病院などを訪ね、音楽の可能性を伝える社会活動も展開する五嶋の“音楽哲学”が垣間見える一冊となっている。

 「道程」は1月13日に、那覇市のなはーとで開かれる公演の来場者に無料で贈呈する。