写真作品のパネル説明覆う 平良孝七展 県博、人権指摘受け 撤去には応じず


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覆われたキャプションと「来館者の皆様へ」とする説明文=28日、那覇市の県立博物館・美術館

 県立博物館・美術館で開催中の平良孝七展について、展示パネルの一部に「人権上問題がある」と県内の写真家らから指摘を受けていた問題で、同館は28日までに「売春婦」「混血児」などと50年余前の表現をそのまま複写していたキャプションを覆い隠すなどの対応をした。新たに説明文も付け加えた。指摘を受けた2枚のパネルの取り下げには応じなかった。

 写真家らでつくる「平良孝七展の修正を求める会」に大川剛美術館副館長が回答した。同館は26日に2枚のパネルのキャプションを一部覆い、人権上の配慮に関し「当時の表現については今日の視点から見直すことも十分考慮しなければならない」とする説明文を追加。題名に「混血児」とある1枚の写真のそばに27日に説明文を加えた。大川副館長は「被写体の人権に関する配慮が足りず猛反省している。また本人によるキャプションという印象を与えてしまう点も重視し、対応した」と説明した。

 説明を受けた同会メンバーから「キャプションを隠しても顔は分かる。被写体の人権を守るために写真を撤去すべきだ」などの意見があった。

県立博物館・美術館の対応について説明を受ける写真家の比嘉豊光さん(右端)ら=28日、那覇市の同館

 複写展示とした同展第1章の差し替えについては「当時の沖縄の実情を多くの世代の来館者に伝えるために複写展示とした館の判断は揺るがない」と応じなかった。

 写真家らは21日、同展第1章が沖縄革新共闘会議が編集した写真集「沖縄 百万県民の苦悩と抵抗」(1970年)からの複写展示となったことに抗議。「本人が書いたと確定できない説明文がある」として、複写パネルを新たにネガからプリントした写真に差し替えることなどを申し入れていた。
 (宮城隆尋)