【東京】米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設で、現行計画の協議に関わった山崎拓・自民党元副総裁が29日までに本紙の取材に応じ、現行計画について「10年かかっても造れない」とし、計画見直しの必要性を指摘した。2015年の地質調査で発覚し、市民団体の指摘を受けて政府が19年にその存在を認めた軟弱地盤が、工事の重大な阻害要因になるとの見方を示した。
辺野古沿岸部を埋め立て、V字形に2本の滑走路を設ける現行計画は、06年4月に名護市と防衛庁(当時)が案に合意し、18年12月から土砂投入が始まった。
山崎氏は当時、小泉純一郎政権の首相補佐官、自民党安全保障調査会会長として県、市との政府交渉役を担っていたが、「軟弱地盤は最初想定されていなかった」と指摘した。その上で、現行計画の実現が困難になっていると指摘した。
軟弱地盤の問題は、防衛省が15年4月時点で、地質調査業者からの指摘を受けて把握し、米軍も地盤の強度に懸念を示していた。
18年3月にも市民団体から指摘を受けたが、工事を強行。19年になって、政府が国会で大規模な改良工事の必要性を認め、工期が当初想定の5年から約9年3カ月に延長されていた。
山崎氏はこの経緯を踏まえ、計画実現は「希望的観測だ」とした上で「10年以上かかってもひょっとしたらできないということは専門家は分かっている」とし、現行計画の実現が技術的に困難になったとした。
(安里洋輔)