【山崎拓氏・一問一答】 米軍、嘉手納統合に反対 「普天間使用 あと10年」思惑も


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 ―普天間飛行場の返還合意当時の状況は。
 「キャンプ・シュワブの飛行場を拡大する案もあったが、米軍が反対した。米側が埋め立て案を出してきたが、小泉政権は埋め立ては一切駄目と主張し、行き詰まった」
 ―当初は嘉手納基地への統合案もあった。
 「米空軍が猛烈に反対した。彼らからすると基地が一つ減るということになる。空軍と海兵隊の共存の問題もあった」
 「米側は普天間を譲る以上は普天間に替わるもの、代替基地が必要だと主張した」
 ―なぜ現行案に。
 「防衛側が『環境を阻害しない』という触れ込みで一部埋め立て案を出した。小泉氏がそれを飲み、突破口になった」
 ―工事は難航し政府は工期を10年に延ばした。
 「(新基地は)造れない。普天間が返還されなければ沖縄振興にならないと指摘している。最初に予定されていなかった軟弱地盤が出てきた。専門家は、とんでもない構想だと分かっているが、言わない。歴代総理が言わないからだ。普天間は返れば新都市構想ができると言っているが、現実的ではない」
 ―米軍の思惑は。
 「米軍は普天間がそのまま使えればいい。台湾海峡危機もにらんであと10年使えればいい」
 ―県内移設にこだわるべきか。
 「同じ機能であれば(県外でもいい)。例えば当時の大阪府知事が受け入れを表明したことがあったが、大阪なら問題はない。ただ攻撃対象になるリスクは伴う」
 「本土で引き受ける所があれば一番いいが、それではとても選挙にならない。辺野古の問題は民主政治の限界だ。専制主義なら地元の合意を無視して何でもやるが、そうはいかない」