檻/ケイトウ夏子<琉球詩壇・1月7日>


社会
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檻 

ケイトウ夏子(東京都)


 

胸に張る蜘蛛(くも)の巣に
質問するように胸をおさえた
書けなかった言葉は
どこへ行ったのか、と

深く沈んだ芽を
摘めるのにちょうどいい
手の強さを獲得するまで
潜水を続けた
水面に映る月を見れなくても
夜行バスの揺れのように
信じるということは

目を閉じて海底へ進む
終わりがかろうじて読める旅

完成した蜘蛛の巣に水が引っかかる
無意識に挟み込んだ栞が
点滅する


西原裕美・選

寸評

表現しきれなかった言葉にたいする思いと、生まれる言葉を信じようとする複雑な揺れが表現されている。その揺れが豊かだ。