将棋棋士の島本亮五段インタビュー 沖縄との関わり、将棋の魅力は?本紙ラジオ面で観戦記始まる


社会
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島本亮さん=12月、那覇市の琉球新報社

 将棋棋士の島本亮さん(42)=神戸市=による県内将棋大会の観戦記が8日、本紙ラジオ・テレビ面で始まった。掲載は毎週日・月曜日。主に初級クラスの対局を読み説く。県内アマや将棋愛好者らと交流のある島本さんに沖縄との関わりや将棋の魅力、観戦記の企画意図を聞いた。(聞き手・高江洲洋子)

―沖縄との出合いは。

 「6年前ぐらい、日本将棋連盟関西本部の棋士派遣で、沖縄県支部連合会の大会に審判員として参加した。みんな優しくて温かい人たちで、気に入った。連続して呼んでもらえる機会もあり沖縄がどんどん好きになった」

―かりゆしウエアを着てトーナメントに臨んだというエピソードがある。

 「沖縄を初めて訪問した頃は、NHK杯将棋トーナメントの本戦出場を控えており、支部連合会の方々から『かりゆしウエアを着てほしい』と依頼された。連盟やNHKの了承を得て、かりゆしウエアで対戦に臨んだ。しかし、相手が強豪の豊島将之さんだったせいか、いきさつを知らない人から『ふざけている』『ぼけに走った』と言われた。かりゆしを着た理由は真面目だったのだが」

―将棋を始めたのはいつ頃か。

 「小学1年のころ、大掃除していたら将棋盤が出てきて、おやじにルールを教えてもらったらはまってしまった。5、6年生になると子ども大会で上位進出し、全国で優勝した経験もあった。もう少し上へとなったとき、『好きなことを仕事にできるのは幸せ』と親から言われ中1で奨励会に入った。将棋を指すのが楽しくてずっとやってきた」

―将棋の面白さとは。

 「年齢に関係なく対局できるところ。一局指せば相手と対話ができると言われてる。盤面には相手の考えや感情、自分の気持ちが表れる。さまざまな衝突が出てくるから面白い。私は相手を見る方。その人はこう考えているのか、狙いは何かと考える。しかし考え過ぎて墓穴を掘ることも。終わって感想を聞くと、意外に別のことを考えていることもある」

―どのような観戦記を構想しているか。

 「対局者がどう考え指したのか、現場の声を取り入れて書いてみたい。しかし、なかなか難しいところもある。(中級者の場合)局面でどこに課題があったのか、把握できないことがあるので、聴き方に工夫が必要だと思う。また、手数だけではなく、一種の小説的な感じで対局中の風景が分かるような書き方をしてみたい」


 しまもと・りょう 1980生まれ、神戸市出身。1993年6級で小林健二九段門下。2003年四段。11年五段。現在フリークラスに在籍。「神戸発珍戦法で行こう」ほか2冊の著書がある。