悩み相談、受験勉強…陽迎橋自治会の支えに「感謝」 小学校から通う2人が大学合格、門出祝う 沖縄・浦添市西原


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
沖縄国際大学に推薦合格した内間朱音さん(前列左)と大城琳さん(同右)。長年子どもたちに寄り添い、悩みを聞いている金城登喜子さん(後列左から3番目)=12月26日、浦添市西原の陽迎橋自治会

 【浦添】浦添市西原の陽迎橋自治会事務所に通い、事務員やボランティアらに支えられてきた内間朱音さん(18)と大城琳さん(18)の2人がこのほど、沖縄国際大学人間福祉学科に推薦合格した。小学校低学年から自治会事務所に通ってきた2人は、家庭や学校の悩み事の相談から受験勉強まで、さまざまな場面で助けられた。内間さんにとって自治会事務所は「第二の家」であり、大城さんにとっては「楽しい場所」だ。年末には自治会事務所で祝宴があり、2人の新たな門出を祝った。

 2009年に市内で40番目の自治会として認可された陽迎橋自治会は設立以来、子どもの居場所づくりとして、子ども食堂や放課後子ども教室などを開催している。内間さんと大城さんの2人も自治会ボランティアの砂川泰志さん(28)=琉球大4年=から指導を受けた。

 人間関係の悩みから浦添商業高校を中退し、現在、通信制のつくば開成国際高校に通う内間さんは「自治会は踏ん張る力を与えてくれた大切な場所。昔の私はしんどいときに踏ん張る力がなかった」と振り返った。内間さんの将来の目標はまだ決まっていないが、「人の役に立てる仕事に就きたい」と願う。

 西原高校3年の大城さんは「自治会はいろんな場面で面倒を見てくれた。感謝したい」と笑顔。将来の目標は心理カウンセラーで、困難を抱える人たちが「楽しく生きられる手助けをしたい」と考えている。高校卒業を前に2人は「これからは私たちが子どもを支える側になりたい」と意気込む。

 そんな陽迎橋自治会になくてはならない存在が事務員の金城登喜子さんだ。子どもたちに寄り添い、多くの悩みに耳を傾けてきた。金城さんは「私は子どもの思いを聞くだけ。時には何時間も話し込むこともあった」と語る。

 隣にそっと寄り添う金城さんを慕って自治会には内間さんや大城さんと同様に多くの子どもたちが集まってきた。自治会長の知花聡さんは「登喜子さんがいたから子どもたちが集まる。子どもらにとって自治会は家以外で心休まる場所だ」と語る。
 (吉田健一)