〈138〉健康長寿?沖縄を憂う ロコモ兆候 40、50代4割


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 今でも沖縄は健康長寿の県と信じている方も多いかと思います。しかしながら、厚生労働省によると、沖縄県民の平均寿命は急激に悪化しています。

 65歳以下の比較的若い世代の男性死亡率は国内最悪です。1985年までは世界一の長寿県であったのにもかかわらず、です。最近の報告では、骨粗鬆に伴う太ももの付け根の骨折に関し、男性の最下位は沖縄で、女性は下から2番目です。

 県のデータによれば、健康を害する可能性があるアルコール摂取量は、沖縄の特に若い世代において全国平均の倍を超えています。脂っこい食事や糖質の取りすぎも明らかに問題です。

 足腰が弱くなり移動が難しくなる状態をロコモティブシンドローム(ロコモ)と呼びますが、ロコモの認知度も国内最低となっており、関心の低さが懸念されます。

 県のデータでは、沖縄県民は近年ますます歩かなくなっていることが明白に示されています。私どもの調査では、男性で50歳代、女性では40歳代から約4割の方にロコモが始まっている兆候がみられます。

 NHKの朝ドラで注目されている沖縄は、美しい自然と、優しく明るい人々が集う島であることに疑いの余地はありません。一方、健康に関しては、上記のようにさまざまな問題を抱えています。

 少しの距離なら車を使わず、歩きましょう。近くなら階段を使いましょう。激しい運動は必要ありません。少し汗をかく程度で十分ですので、週に数回は体を動かしましょう。

 ステーキやフライドチキン、ハンバーガーもたまには良いですが、平生は沖縄の伝統食を中心にしましょう。新鮮な島野菜をふんだんに使い、ビタミン豊富な豚肉や近海の幸を用いた沖縄料理を囲み、朗らかに楽しい程度に泡盛に酔い、三線の音に踊る。そんな昔ながらの素晴らしい沖縄の食文化が失われつつあります。私の大好きな沖縄が、今や本当に危機に直面していることを、心より憂う今日この頃です。

(西田康太郎、琉球大学 整形外科)