薄くて軽いコンクリ、経産大臣賞 阿波根さんら5人受賞 なはーと使用、自在なデザイン可能 ものづくり日本大賞


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HPC(ハイブリッドプレストレストコンクリート)技術を用いて建設された那覇文化芸術劇場なはーと

 製造業などの優秀な人材をたたえる第9回ものづくり日本大賞の受賞者が10日、発表され、内閣総理大臣賞に次ぐ経済産業大臣賞にHPC沖縄(浦添市)の阿波根昌樹社長ら5人によるハイブリッドプレストレストコンクリート(HPC)技術の開発が選ばれた。

 HPC技術は、高強度繊維補強コンクリートにさびないカーボンワイヤを通すことで、厚さ2~4センチと薄く、かつ耐久性の高いコンクリートを実現した。薄くて軽くしなやかで、今までのコンクリートではできなかった自在なデザインを可能にした。

 県内の建築物では、那覇文化芸術劇場なはーとの外壁、琉球銀行牧港支店の屋根などで使われている。表面を加工しやすく、火災で焼けた首里城の赤瓦を混ぜた一間(約180センチ)四方の舞台空間「Una―(御庭)」にも用いられた。

阿波根昌樹社長(提供)

 HPCはさびない材料を使用しているため、塩害を受けず、地盤産業の代表格であるコンクリート製品のグローバル展開の可能性を広げた。

 阿波根社長は「沖縄は台風、塩害、地震というコンクリートにとって過酷な環境だ。だからこそ世界で勝負できる技術が生まれた」と語った。

 HPC技術の開発に携わり、阿波根社長以外に表彰されたのは細矢仁さん(一級建築士事務所細矢仁建築設計事務所)、西薗博美さん(西薗博美構造設計事務所)、多田修二さん(多田脩二構造設計事務所)、宮野伸介さん(技建)。

 経済産業大臣賞はHPC技術を含む13件59人、1団体に贈られる。表彰式は1月下旬に行われる。
 (玉城江梨子)