2人でウエディングドレスを 性への違和感ともに乗り越え来月挙式 あるカップルが目指す結婚と社会のカタチ


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夢だったというウエディングドレスを着て写真に収まるみーちゃん(左)と安里ミムさん(ONESTYLE提供)

 性的マイノリティーのパートナー「みむみー」としてラジオパーソナリティーやモデル、ユーチューバーとして活動する沖縄市在住の安里ミムさん(29)とみーちゃん(32)は、2月に挙式を予定しており、共にウエディングドレスを着用する。

 安里さんは戸籍上は女性だが男女とも恋愛対象の「バイセクシュアル」、みーちゃんは戸籍上は男性だが男女どちらにも当てはまらない「Xジェンダー」だ。共に学生時代から自身の性に違和感を抱き悩んでいたが、現在は2人でカミングアウトし、ジェンダー平等を訴える活動をしている。

 埼玉出身のみーちゃんは幼い頃からぬいぐるみや女子向けのアニメが好きだったが他人に打ち明けられなかった。高校、大学と進学し東京の上場企業に就職。しかし、短い髪にスーツ姿で働く日々に葛藤を覚え、精神的に追い込まれた。そううつ病と診断され、入社から3年で退職、29歳の時に沖縄に移住した。安里さんと出会い、2人で活動を始めて自分らしく生きられるようになった。

 安里さんも幼少時代は引っ込み思案で、小学生の頃にはいじめにも遭った。他人との関わりを避け、引きこもっていたが、高校生の時にこのままではいけないと一念発起。芸能活動を始め、自身の性について公表。積極的に人前に出ることで恐怖心を克服した。

 2人は2021年に婚姻届を出し、今年、コロナ禍でかなわなかった念願の結婚式を迎える。式の準備には性的マイノリティーならではの苦労もあったという。

 みーちゃんは「着られるサイズのドレスが少ないのが一番の悩み。性別にかかわらず、ブライダルもタキシードかウエディングドレスかを選択できてオールジェンダートイレのある施設がもっと増えてほしい」と話す。

 同じような悩みを持つカップルの参考になればと、ブライダル写真の撮影や式の準備の様子をSNSに投稿し、広く発信している。しかし、時には心ないコメントが来ることもあるという。「男のくせに気持ち悪いとかかわいくないとか…。もっと悪質な内容もあった。あまりのひどさに発信を控えようとも思ったが、勇気をもらえたというコメントもあるから頑張れる」(みーちゃん)。

 挙式当日もSNSで発信する予定だ。安里さんは「(日本では)同性婚も認められていないし、性的マイノリティーの結婚には悩みも多いけど、5年後、10年後にはどんな人も当たり前に式を挙げて祝福される世の中になってほしい。そのためにも活動を続ける」と語った。
 (普天間伊織)