県内の112社で構成する県印刷産業協議会(平山達也理事長)は11日、用紙や関連資材などの相次ぐ値上げを受けて、印刷物の適正価格での発注に理解を求める会見を県庁記者クラブで開いた。「コスト上昇は各社で吸収できる範囲を超え、コストダウンの取り組みは限界に達している」と訴えた。同協議会など県内印刷業者らは、2021年12月、22年5月にも印刷資材の価格高騰を訴える会見を開いたが、改めて窮状を訴えた。
コロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻、円安、賃金上昇などがコストに影響している。特に紙の値上げが顕著で、製紙メーカーによる20年以降3度目となる値上げが1月下旬から行われており、価格はコロナ前の2019年比で50%増となる予定だという。値上げ幅はそれぞれの企業努力などにより各社で異なるが、商品の箱や袋、出版物、事務用品類の印刷物など、印刷物全般に影響が生じる。
コロナ禍の影響を受け、印刷物の需要はコロナ前に比べ全体で2~3割ほど減少した。土産品の包装やホテルのパンフレットなど、観光に特化した印刷物を扱う会社では約8~9割も減少したという。平山理事長は「これまで値上げによる需要低下は見られないが、コロナ禍でのデジタル移行の風潮から、需要は一定程度下がりつつある」と話した。
県紙友会の福山照彰会長は「円安が弱まっても、この先1年の価格状況はほぼ変わらないと考えている」と厳しい見通しを示した。
今後、コロナ禍で借り入れた融資の返済なども始まることから、平山理事長は「経営が厳しくなり、倒産する企業も出てくるのではないか」と危惧した。その上で「単に値上げをするのではなく、費用対効果を出せるような取り組みをしていく。地元の雇用の維持のためにも、値上がりを理解してほしい」と訴えた。
(與那覇智早)