自衛隊増強の動き「戦前と重なる」 沖縄の「元全学徒の会」が声明「沖縄を戦場にすることに断固反対」


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「全学徒隊の碑」

 沖縄県内21校の旧制師範学校・中等学校でつくる「元全学徒の会」は12日、「沖縄を戦場にすることに断固反対する声明」を発表した。ミサイル配備をはじめとする南西諸島の自衛隊増強と軍事要塞(ようさい)化に反対し、陸上自衛隊第15旅団の師団格上げや司令部の地下化について「県民の平和志向に反する。命を何よりも大切にする沖縄戦の教訓を守ってもらいたい」と訴えている。

 声明では、沖縄で自衛隊増強が進む状況について「再び戦争が迫りくる恐怖と強い危機感を覚え、むごい沖縄戦を思い出す。日本政府は『中国脅威論』を盾に、自衛隊と米軍の一体化で国民の緊迫の度を高め、自ら戦争を引き起こそうとしている状況が戦前と重なる」と危惧を示す。

 日米の地上戦となった78年前の沖縄戦では旧制師範学校・中等学校の21校全てで生徒が動員された。戦争の残虐さを体験し、大勢の学友や家族を失った体験を踏まえ「美しい大義名分を掲げても、戦争には悪しかない。戦争は始まってしまったら手がつけられず、爆弾で人の命が奪われる。戦争はしてはならない」と訴えている。

 日本政府に対しては、かつての侵略戦争への反省と教訓を踏まえ「今すべきことはは、いかに戦争をするかの準備ではなく、戦争を回避する方策を取ることだ」と外交努力を求めている。

 元全学徒の会は、戦前に県内にあった旧制師範学校・中等学校21校全ての元学徒らが参加する。学徒隊としての戦死者は約1千人、沖縄戦全体で学徒の死者は約2千人とされる。

(中村万里子)