【深掘り】沖縄への「負担配慮」は二の次、施設使用や演習増加か 日米2プラス2合意


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共同記者会見に臨む(左から)浜田靖一防衛相、林芳正外相、米国のブリンケン国務長官、オースティン国防長官=12日(米国時間11日)、米ワシントン(外務省提供)

 12日に行われた外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)は、沖縄への海兵沿岸連隊(MLR)配備や南西諸島での施設の共同使用、共同演習を増加させることなどで一致した。沖縄などの「地元負担に最大限配慮」するとしつつ、在日米軍については「最適化」の名目で「より多面的な能力を有し、より強靭(きょうじん)で、より機動的なものに強化する」と前面に打ち出す。

 日本政府は現行の再編計画で沖縄に残ると決めている1万人という人数は変わらないとして「地元負担にも最大限配慮した」と強調するが、施設の共同使用や演習増加は「負担増になる」(県関係者)として懸念が渦巻いている。
 「MLR化は、アメリカが日本を体を張って守るという意思の表れだ」。政府関係者の一人は、中国のミサイル射程圏から米軍が後退しようとしているとの議論を念頭に、MLRに改編する意義を強調した。

 日本防衛に関与

 MLR化に伴い、現在第12海兵連隊に配備されている高機動ロケット砲システム「ハイマース」は撤去され、代わりに射程が約200キロと比較的短い対艦ミサイルの「NSM」が配備される。
 沖縄での対艦ミサイルの実弾訓練は想定せず、シミュレーションなどを活用する方針で、政府関係者は「沖縄の負担を分かち合うとの考えは変わらない」と強調した。
 ただ、発表に盛り込まれた負担軽減策は従来から日米両政府が示してきた範囲にとどまった。
 日米両政府は沖縄での自衛隊増強や米軍の機能強化に向けて具体的な計画を打ち出した一方、沖縄の負担軽減は二の次となっている。
 防衛省関係者は「急速な変化にハレーションが起こるのは当然」としつつ「抑止力の強化と負担軽減は一致しない。(中国を念頭に)最新鋭の武器に対抗するにはこちらも装備や戦略の更新が必要だ」と強調した。

 知事、強くけん制

 「日米の施設の共同使用や共同演習・訓練の増加により、これ以上の基地負担が生じることはあってはならない」
 共同発表を受け玉城デニー知事は、政府の動きを強くけん制するコメントを発表した。第12海兵沿岸連隊への改編を巡っても「別部隊の沖縄からの移転は着実に検討を進め、滞ることがないよう強く求める」とした。
 県関係者は昨年行われた日米共同統合演習などで、県民の間で懸念や不安の声が強まったことに触れ、共同使用や共同演習が増えれば「負担増になりかねない」と疑問視した。知事コメントで示した警戒感については、沖縄から国外に移転する海兵隊部隊の見直しやMLRの改編といった今後の流れの中で、グアム移転に遅れが出る可能性もあるとし「そこはくぎを刺す必要がある」と狙いを示した。(知念征尚、明真南斗)