宇宙につながる安全性 喜屋武ゆりか(沖縄大学健康栄養学部講師)<未来へいっぽにほ>


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喜屋武 ゆりか(沖縄大学健康栄養学部講師)

 宇宙食の万全な安全性のためにNASAが開発した衛生管理。それと同じ手順で、給食は調理されている。健康的でおいしい給食の大前提に「安全」が求められ、給食従事者は食中毒が起こらぬよう専門的な衛生管理に日々奮闘している。具体的に紹介したい。

 まず、調理員、栄養士等は毎月2回、食中毒にかかっていないか腸内細菌検査を受け、毎日体調チェックを行う。腹痛や下痢など食中毒症状がある場合は調理できず、医療機関へ。同居家族に症状がある場合もNG。家族由来で感染しており、本人は症状のない感染者の可能性があるからだ。そう、新型コロナの陽性者や濃厚接触者の自宅待機のような対応である。この対応を給食現場ではずいぶん前から行っている。

 野菜等は必ず三つのシンクを使い、水を替えて3回洗う。家では1回洗うのも大変だ。エプロンは、扱う食材や作業内容ごとに着替える。肉・魚を扱う人はピンク、卵は黄色、仕上げ担当は白、といった具合で色で区別し、食品の汚染を防ぐ。

 手洗いも手首やひじ、爪の中も洗えるよう個人専用の小さなブラシを使い、徹底的に洗う。扱う食材や作業ごとに1日に何回も手洗いが求められる。例えば、野菜の皮むきを終えカットに移る際、手洗いが必須だ(なぜか考えてみよう)。

 ちなみに、給食従事者は牡蠣(かき)を食べられない。ノロウイルス感染のリスクが高いため自制する。私は以前、学校の栄養士として勤めていたが、会食時、目の前にある艶やかな牡蠣の我慢はつらかった。伝えたいことは「安全な給食の裏側に、給食従事者の宇宙的な尽力あり」。