五嶋みどり、圧巻の演奏で観客揺さぶる バイオリンの表情多彩に デビュー40周年、沖縄・那覇でリサイタル


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繊細な演奏で観客を魅了する五嶋みどり(左)とイェヴァ・ヨコバヴィチューテ=13日、那覇文化芸術劇場なはーと(大城直也撮影)

 バイオリニストの五嶋みどりのデビュー40周年を記念した「ヴァイオリン・リサイタル」(琉球新報社主催、那覇市共催)が13日、那覇文化芸術劇場なはーとで開催された。琉球新報創刊130年記念公演第1弾。リトアニア出身のピアニスト、イェヴァ・ヨコバヴィチューテさんと共演した。2011年以来12年ぶりの沖縄公演では、アンコールを含む5作品を演奏した。会場からは、世界のトップアーティストによる圧巻の演奏に対し、惜しみない拍手が沸き起こった。

 プログラムは、ドボルザーク「4つのロマンティックな小品」、プロコフィエフ「ヴァイオリンとピアノのためのソナタ 第1番 ヘ短調」、シューマン「幻想小曲集」、フランク「ヴァイオリン・ソナタ イ長調」。五嶋は、ときに体を前後に動かしたり、伸び上がらせたりと、一音一音に思いを込めるように演奏した。緩急、強弱自在な演奏によって多様な表情を与えられた曲たちが、舞台を幻想的に彩り、観客の感情を揺さぶった。

 アンコールはシューマンの「ロマンス」で飾った。

 観劇した那覇ジュニアオーケストラの李周嬪さん(13)は「思わず声が出てしまうような舞台だった。五嶋さんのバイオリンの透き通るような音が、曲の中で、さまざまな『感情』の色に染まっていった。彼女の表情、体の動き、ヨコバヴィチューテさんのピアノが合わさり、舞台が一つの芸術作品に感じられた」と笑顔を見せた。

 開演前には、五嶋さんのトークイベントも開かれた。アメリカやヨーロッパ、アジアの国々をはじめ、「本物の音楽」を届けるために離島など音楽に触れる機会が限られている場所でも、演奏会を開いていることを紹介した。

 40年、演奏活動を続けられたコツについて五嶋さんは「訪れる場所の食べ物を楽しみ、ワークハード、プレイハード(舞台や演奏を一生懸命に務める)」をすることや「毎日基礎練習を欠かさず、コンディションをチェックしている」ことを語った。
 (藤村謙吾)