かつての激戦地に響くサイレンと抗議の声「戦争想定の訓練をやめろ」 那覇ミサイル避難訓練 会場外で抗議集会 沖縄


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ミサイル飛来を想定した住民避難訓練に抗議する市民ら=21日午前、那覇市銘苅(大城直也撮影)

 弾道ミサイル飛来を想定した住民避難訓練が21日、沖縄県那覇市銘苅のなは市民協働プラザで開かれ、「那覇市の国民保護訓練に反対する会」の市民など約50人が訓練に抗議した。訓練用のサイレンが鳴る中、「軍事拡大反対」「恐怖をあおる訓練やめろ」などと声を上げた。

 沖縄戦で激戦地となったシュガーローフが近いことから、「ここは激戦地で多くの人が亡くなられた。こういう土地で戦争を想定したような訓練はしてほしくない」との声も聞かれた。

 参加した女性(70)=那覇市=は「社会全体が(軍事化に)流されていくような危機感がある。地道な外交努力をすべきだ。ウクライナを見ても、いったん戦争が始まったら誰にも止められない。政治も市民も、その前に止める努力をすべきだ」と話した。

 親が沖縄戦体験者という参加者もマイクを握った。母親が沖縄戦体験者の市民(75)=那覇市=は、訓練の実施について「怒り心頭だ。また戦場になるのではと危惧している。戦争体験者を代弁する気持ちで立っている」と話した。沖縄戦遺骨収集ボランティアのガマフヤーの具志堅隆松代表(68)も参加し、「避難をしても、仮に沖縄にミサイルが飛ばされたらその時点で全てを失う。戦争前提の行動ではなく、戦争に巻き込まれない行動が大事だ」と訴えた。

 訓練終了後、市民から説明を求められた那覇市防災危機管理課の職員がマイクを握り、「戦争をやりたくて(訓練を)やっているわけじゃない。人々を助けたいという気持ちでやっている。戦争は起こしてはならないという心は一つだ」と話す場面もあった。

 これに対しノーモア沖縄戦命どぅ宝の会の山城博治共同代表(70)は「市として戦争は断固反対だと表明してほしい。それに一言も触れずに避難訓練というのは政府のプロパガンダに寄ってしまう。住民市民を戦争に引っ張ってしまうふうに思える」と指摘した。

(中村優希)