「沖縄に寄り添い」文言消える…岸田首相の施政方針演説、南西地域の「防衛体制の抜本強化」強調


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岸田文雄首相

 【東京】岸田文雄首相は23日、国会で施政方針演説を行い、沖縄を含む「南西地域」の「防衛体制の抜本強化」を打ち出した。「外交・安全保障」の課題として宜野湾市の米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設推進の方針を改めて示した。「基地負担軽減」も掲げたが、昨年1月の施政方針演説でみられた「沖縄の皆さんの心に寄り添い」との表現は削除された。

 岸田首相は「防衛力の抜本的強化」を重要課題に上げ、昨年末に閣議決定した安全保障関連3文書に含まれる「国家安全保障戦略」の策定を成果として強調した。その上で、「まず優先させるべきは積極的な外交の展開」と掲げる一方で、具体的な外交施策は示さず、防衛力強化について詳しく紹介した。

 5年間で43兆円の防衛予算を確保することや、沖縄への配備も見込まれるミサイルなどの「反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有」も盛り込んだ。沖縄を含む「南西地域の防衛体制の抜本強化」、「装備の維持や弾薬の充実」を進める姿勢を明確にした。

 安保課題の一環として「強い沖縄経済」の実現を目指すとし、防衛政策と沖縄振興とのリンク姿勢もにじませた。

 昨年1月の施政方針演説で「地域活性化」との関連で取り上げた現政権下での沖縄振興の基本方針に据える「強い沖縄経済」の取り組みについては、普天間飛行場の辺野古移設の推進の方針とともに「外交・安全保障」の課題とした。

(安里洋輔)