性的同意 東さよみ(助産婦)<未来へいっぽにほ>


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東さよみ(助産婦)

 県内では10代の出産が年間300人前後あります。全国トップの出生率で、以前勤めていたクリニックでは年間2~3人の中学生や高校生が、妊娠による受診をすることがありました。予期せぬ妊娠であったでしょう。

 学校では月経教育はあっても、セックスについては教えてくれません。2000年代前半に性教育バッシングが起こり、国は性教育に消極的になりました。小中学校の学習指導要領には、小5理科に「人の受精に至る過程は取り扱わないものとする」、中1保健体育に「妊娠の経過(性交)は取り扱わないものとする」とあります。いわゆる「はどめ規定」というものです。

 不思議です。セックスを教えないで、どうして性感染症や避妊を教えられるのか。時代は流れ、SNSが普及し、若者たちは性の知識をネットから学びます。その中には明らかなフェイクニュースもあります。性の搾取があり、危険なサイトがたくさんあります。

 クリニックの保健指導室で女の子たちに、「セックスしたくてしたの?」と聞くことがあります。ほとんどの場合、「断れなかった」「嫌われたくなかった」「避妊してと言えなかった」と、性的同意が取れていません。男性が避妊に協力しないのは性暴力だと、どのくらいの人が考えているでしょう? セックスをする、しない、赤ちゃんを産む、産まない、主体がどこにあり、誰のからだなのか? 一緒に話し合える関係性をつくることが大切だと思います。

 誰もが大切にされる存在です。性教育は人権教育であり、平和教育だと私は考えています。