PFOSとPFOA、暫定指針値を継続 専門家「疫学データ、3年後までに集めたい」 国の有識者会議


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 【東京】環境省と厚生労働省は24日、有機フッ素化合物(PFAS)のうち、PFOSとPFOAについて指針値を話し合う有識者会議を開催し、両物質の合計を1リットル当たり50ナノグラムとする暫定指針値を見直さず、当面継続することを確認した。一方で国際的な動向を含めて知見やデータの収集に努めることとした。

 米環境保護庁(EPA)は2022年6月、飲料水として生涯摂取し続けていい濃度を表す「生涯健康勧告値」を引き下げた。これまでPFASの一種であるPFOSとPFOAの合計を1リットル当たり70ナノグラム以下としていたが、PFOSを同0・02ナノグラム以下、PFOAを同0.004ナノグラム以下とした。これに合わせて日本国内の指針値も厳格化されるか注目されていた。

 一方、EPAが示した勧告値は暫定的な数値で、最終的な飲料水の基準は今後決定される。また、世界保健機関(WHO)はPFOSとPFOAについてそれぞれ1リットル当たり100ナノグラムというガイドライン値を検討しており、日本の指針値よりも緩い。

 環境省と厚労省の両省による専門家会議はこれらの関係機関による評価のばらつきを踏まえ、指針値見直しを見送った。専門家会議の委員からはデータが集積するまで「10年は掛からない」「3年後までには日本国内でもある程度の疫学データが得られる」などの見通しが示された。
 (明真南斗)