与根漁港、観光施設オープンしたけど…活用へ琉大生が鋭い指摘 沖縄・豊見城


社会
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与根漁港と観光の関連について独自の調査をした琉球大学の学生ら=12日、豊見城市の同漁港

 【豊見城】昨年4月に観光交流施設「ゆにま~る」が開設した豊見城市の与根漁港で、琉球大学観光社会ゼミの学生が昨年5月下旬から12月まで独自で調査をして、漁港と地域が連携した観光の持続可能性や課題などをまとめた。運営に関して行政側とゆにま~るが連携不足であるとの鋭い指摘もしている。学生が12日に漁港を訪ね、結果をまとめたポスターを漁師の大城和也さん(44)に手渡した。大城さんは「指摘は当たっている。今後の運営で一つの材料にしていきたい」と評価した。

 調査をした学生は冨里玲王さん、中馬半蔵さん、砂川仁来(にらい)さん、大原叶夢さん、大城茉矢(まや)さん、又吉万葉(まよ)さん、窪優月さん、伊佐遥花さんで、全員21歳の3年生だ。4年生で卒業論文に取り組む前に、ゼミの越智正樹教授から手順を教わりながらテーマ設定や調査方法などを学んだ。

 学生たちは大城さんや市の担当者、市観光協会、地元の自治会長らにインタビューした。地域との連携面や、よりよい観光のあり方などについて話を聞いて結果をまとめた。現状として「地域事業者や学校はゆにま~ると十分にコミュニケーションが取れている」と指摘した。一方で「市や観光協会はコミュニケーションが取れていない」との課題に触れて、行政による支援の弱さを指摘した。

 ゆにま~るに期待することとして「地域の交流や教育の場」となり「与根地区の活性化」や「豊見城の観光の幅を広げるきっかけ」になることを挙げた。今後の展望として「市や観光協会が漁港を支援することで、運営負担が軽減され、効率的な運営ができる」などと考察した。

 中馬さんは調査結果を踏まえ「観光は均一化すると持続性がない。これからは与根漁港のように『地域色』が大事だ」と語り、地域と連携した与根漁港とゆにま~るの発展に期待した。大城さんは「学生が目を向けてくれて感謝したい。客観的な視点でまとめていて、今後に生かしたい」と語った。
 (照屋大哲)