薬局運営などを手掛けるくんちサプライズ(糸満市、玉城賢也社長)はこのほど、豊見城市宜保の「あいらんど薬局豊見城中央病院前店」に最新式の調剤ロボットを導入した。ロボットアームが処方箋に書かれた薬の箱をいち早く見つけ、取り出し口に運ぶことで、薬剤師の業務を一部肩代わりする。薬局内のDX(デジタルトランスフォーメーション)化を進めて、患者の待ち時間短縮や県内で不足する薬剤師の働き方改革につなげる。
薬局では処方箋の確認や薬の調合、服薬の説明のほか、納入される薬剤の棚入れや有効期限の管理などさまざまな業務がある。同店で勤務する薬剤師は3人で、近隣に新たなクリニックもできる中で患者の待ち時間の解消は課題だった。
今月4日、日本ベクトン・ディッキンソン社(東京)が販売する調剤ロボットを県内で初めて導入した。沖縄振興開発金融公庫が導入経費を含めて5千万円を融資した。
長方形の箱形装置で約1200種類の薬剤を管理し、処方箋のデータを読み込むとロボットアームが1箱当たり10秒で取り出し口に運ぶ。有効期限が短い薬剤から優先して取り出すなど在庫管理が効率化され、高価な薬剤の廃棄コストを減らせるメリットもある。
薬剤師が棚から一つ一つ薬剤を探す手間が省けたことで、15~20分の待ち時間は10分以内まで短縮できるという。玉城社長は「患者さんと向き合う時間も確保でき、そこに薬剤師の職を生かしたい」と強調する。
県内には薬学部がなく、人口当たりの薬剤師は沖縄が全国一少ない。自身も薬剤師の玉城社長は、取り組みを通じて「薬剤師の魅力を高めて、県外に出た学生さんが戻ってくるようになるといい」と見据えた。(當山幸都)
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