文部科学省の調査で、教職員50人以上の学校に義務付けられている産業医の選任率が、沖縄県は全国最下位という実態が明らかとなった。背景には法令順守への意識の薄さのみならず、教育委員会の危機感の欠如も垣間見える。
産業医は労働者の健康を管理する専門家で、健康相談やストレスチェックなどを担う。いわばメンタルヘルスのプロで、本来、心の不調を感じた労働者の支えとなる存在だ。県内では精神疾患で休職する教員が増加し、在職者数に占める割合は全国で最も高い。産業医の「不在」と関係ない、と言えるだろうか。
取材に対し、市町村教委は産業医確保の難しさと同時に「教員から相談がない」との回答が複数あった。一方、教員からは「(時間の問題で)使いづらい」「相談しづらい」という声が絶えない。教委は「相談がない」背景を考えるべきだ。
「法令違反」の状態を放置すれば、教員不足がより深刻化する恐れもある。県教委と市町村教委が協力し、この問題に危機感を持って向き合う必要がある。
(眞崎裕史)