米軍普天間飛行場の閉鎖・撤去と沖縄県内移設断念、MV22オスプレイの配備撤回を求める「建白書」の提出から10年がたった28日。那覇市で開かれた「民意実現を求める沖縄県民集会」に集まった人たちは、10年前と何も変わらないどころか、国が中国脅威と台湾有事を声高に唱えて軍拡に突き進む現状に、怒りの声を上げた。民意の実現を求めて、団結と行動へ気勢を上げた。
「保革を超えて一つになった。沖縄は良い方向に向かうと期待していた」。新垣徳正(とくしょう)さん(66)は中城村議として建白書に関わった当時を振り返る。しかし、その期待は裏切られ続けてきた。「政府の強硬姿勢に怒りとむなしさを感じる。心が折れそうになる」。だが、諦めてはいない。建白書が提出された2013年に生まれた孫と参加し「今こそ行動しないといけない」と力を込めた。
浦添から参加した女性(71)は「私たちが知らないうちに物事が決まり進められていく」と危機感を募らせる。亡くなった父には沖縄戦で銃撃された傷痕とやけどの痕が残っていた。「小さいころは戦争のことが怖くて聞けなかった。だが今は、父から聞いたことを次の代に伝えていかないといけない」と反戦への強い思いを胸に行進した。
「基地問題で県民と対話せず、台湾有事では中国と対話しようとしない。同じ構図だ」と政府を批判した男性(26)。国政与党の国会議員が集会に参加しなかったことにも「与野党関係なく、県民の声を届けることこそ県選出議員の務めではないのか。残念だ」と話した。
(安里周悟)