東京・銀座で10年前と同じコースをデモ行進 沖縄の基地問題「全国の問題に」 オスプレイ配備撤回求める建白書10年


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 2013年1月28日、沖縄県内の全41市町村長や議会議長らが署名した「建白書」を携えて総勢約150人の超党派の要請団が上京し、米軍輸送機オスプレイの配備撤回や普天間飛行場の県内移設断念を政府に直接要請した。あれから10年、東京・銀座の通りでは当時と同じコースを市民がデモ行進し、民意を無視して沖縄に基地が押し付けられる現実を全国の問題として向き合うよう訴えた。南西諸島の軍事要塞化で再び戦争に巻き込まれる恐れが強まる中、当時の関係者は県民がもう一度「島ぐるみ」でまとまる重要性を訴えた。

「辺野古新基地建設断念」の横断幕を掲げ、10年前と同じコースでデモ行進する市民ら=27日、東京都・銀座

 「豊かな海に基地を造るな」―。ネオンがきらめき、多くの人が行き交う夕暮れの銀座に、県民らの悲痛な思いがこもったシュプレヒコールが響いた。米軍普天間飛行場の県内移設断念などを求める「建白書」提出から10年の節目を前にした27日、再び県民の声を届けようと記念集会に参加した市民らが寒空の中でデモ行進した。10年前に心ない野次や罵声の飛び交ったコースを歩いたが、大きな混乱や妨害はなく、参加者は通行人らに「連帯しよう」と呼び掛けた。

 デモ隊は日比谷野外音楽堂での集会を終えた午後7時45分ごろから会場を出発し、長い列を作って銀座を目指した。先頭に立つ市民が「沖縄の民意を日本の民意に」と大書された幕を手に、「戦争のための基地はいらない」などと声を上げた。

 デモに参加した「基地のない平和な沖縄をめざす会」(東京都台東区)の共同代表、長谷部洋子さん=埼玉県川口市=は石川市(現うるま市)で生まれ那覇で育った。上京して約40年。「政府はユクサー(嘘つき)」と批判する。先島では自衛隊配備が進み、政府の唱える基地負担の軽減から一層遠のく現状に「心が痛む。ちむぐりさです」と唇を噛んだ。

 集会のリレートークでは、関東在住で宜野湾市出身の明有希子さんが登壇した。2017年に米軍機の部品が落下した同市の緑ヶ丘保育園に娘を通わせていた明さんは、米軍機が飛ばない都内の空を見上げるたびに「どうして沖縄にばかり負担を押しつけるのか」と怒りがわくという。「将来大人になった彼女(娘)に違う風景を見せたい」と米軍による被害のない沖縄の実現を願った。ルポライターの鎌田慧さんは、辺野古新基地建設を推進する安倍、菅、岸田政権を「ホップ、ステップ、ジャンプで地獄へ落ちようとしている」と批判。大学院生の元山仁士郎さんは、「辺野古の新基地建設に対する政府の姿勢には絶望感すら感じる」とし、「沖縄の基地問題を活発に議論するため国会請願の取り組みに協力を」と呼び掛けた。

(安里洋輔、斎藤学)