「建白書、今も生きている」取りまとめ携わった喜納昌春氏 新たな「オール沖縄」への結束訴え


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建白書の今日的意義を語る喜納昌春氏=27日、西原町

 2013年当時に沖縄県議会議長だった喜納昌春氏(75)は、オスプレイ配備に反対する県民大会実行委員会の共同代表の一人として、建白書の取りまとめに携わった。「建白書を打ち倒すものは10年たった今も出ておらず、建白書は生きている」と強調した。一方、対中国を念頭にした防衛力強化が県内で続き、有事に巻き込まれかねないとの懸念が強まる中「県民の命と暮らしを守る、新たな『オール沖縄』が求められる」と訴える。

 建白書は12年9月のオスプレイ配備に反対する県民大会が発端だ。オスプレイの安全性を巡る問題が指摘されたことに加え、輸送力が増強されることで「沖縄の軍事拠点化が進むことへの党派を超えた危機感があった」と振り返った。

 建白書から10年。沖縄本島の市部では保守系が首長を独占する一方、昨年の知事選では「建白書」の実現を訴える玉城デニー氏が再選した。

 「県だけは戦争ノー、基地強化もノーと言える人でないと沖縄がもたないと、多くの人が感じている」と話し、建白書の訴えは今も多くの人に共有されているとみる。

 一方、辺野古新基地建設は続き、オスプレイは今も沖縄の空を縦横無尽に飛ぶ。16年12月には名護市安部の浅瀬に米軍普天間飛行場所属のMV22オスプレイが墜落した。

 「実行委員会の幹事団体だけでも残し、持続的に取り組めなかったか」と悔いも残る。それでも「ああいう大きな組織は二度と作れないのではないか。建白書に集められた県民のエネルギーは忘れるべきではない」と継承されることを願った。

(知念征尚)