学校の産業医選任68% 沖縄が全国最下位 法令違反の疑い


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 労働安全衛生法で教職員50人以上の学校に義務付けられている産業医の選任について、沖縄県は全国平均の93・1%を大きく下回る68・8%にとどまり、全国最下位だったことが28日までに文部科学省の調査で分かった。厚生労働省によると法令違反の可能性が高い。精神疾患による教員の休職者が増え続け、教員不足の要因として問題化する中、法が定める健康管理体制の立ち遅れが浮き彫りとなった。 

 調査は公立の小中高校や特別支援学校などが対象で、2021年5月時点を基準としている。

 労働安全衛生法や同法施行令などに基づき、教職員50人以上の学校では、学校設置者(教育委員会)が産業医を選任する必要がある。調査では秋田や高知など15県が、産業医の選任率100%と回答。沖縄は全国で唯一、7割を下回った。

 県教委によると、対象は計157校で、そのうち49校で産業医が選任されていなかった。特別支援学校は全校で選任、高校もほぼすべての学校で選任されていたものの、小学校と中学校での選任はいずれも半数を割り込んだ。これに伴い、同様に法的義務となっている産業医による職場巡視も実施率58・3%にとどまった。

 県教委の担当者は琉球新報の取材に「厳しい数字」と回答。「(産業医の選任など)労働安全管理体制の未整備は法令違反に当たる。市町村教委は教職員の労働安全を確保することからも、産業医の選任に努めてもらいたい」とし、働き掛けを続ける考えを示した。 (眞崎裕史)