「はちみつを作ってみたい」の一言がきっかけ 養蜂で引きこもり支援 市民団体「当事者の自信に」 沖縄・浦添


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寄付を受けた比嘉オプティカルの比嘉比呂子社長(左)に返礼として採蜜したはちみつを手渡す宮城仁太郎代表(提供)

 【浦添】引きこもりなど当事者の社会参加の出口支援などを目的に、2021年4月に発足し、養蜂に取り組むボランティア団体「Bee free Lab.(ビーフリーラボ)」(浦添市、宮城仁太郎代表)が実績を重ねている。引きこもり当事者の「はちみつを作ってみたい」の一言から「ブンブンプロジェクト」を立ち上げ、22年9月までに3回の採蜜を行い、実績を積んでいる。賛同するメンバーも増え、新たな社会づくりに期待が懸かる。

 発足当時、宮城代表を中心に地域貢献したい若者やコミュニティーソーシャルワーカー、福祉関係に従事する職員ら7人でプロジェクトをスタートさせた。

 約2年前、現在同団体の副代表を務める20代後半の引きこもり当事者と宮城代表らが出会い、その当事者から「人と関わらない仕事がしたい。はちみつを作ってみたい」との声を聞いたのがきっかけとなった。プロジェクトに賛同し集まったメンバーは養蜂の知識はもとより活動資金もなかった。

活動に意欲を燃やすBee free Lab.のメンバー=浦添市勢理客の勢理客公民館(提供)

 新垣養蜂園(那覇市首里)の協力を得て勉強会を開き、21年度浦添市まちづくりプラン助成金の採択を受けて活動をスタートさせた。

 浦添市の勢理客公民館敷地内に設置した巣箱を管理するほか、花を育てて養蜂し、地域清掃も行っている。2021年9月に初めて約2キロのはちみつを採取した。はちみつは、勢理客公民館で地域住民などに無償で配布した。公民館に足を運んでもらうことを狙いの一つとした。

 2回目は22年5月に約4キロを採取。採取の際には浦添市立宮城っ子児童センターを利用する子どもたちたちが採蜜体験をし、自然に触れた。

 22年2月には比嘉オプティカル(浦添市、比嘉比呂子社長)から活動に対する寄付が寄せられ、11月にお礼としてはちみつを贈った。

 「楽しく 気軽に ゆっくりと」と団体のモットーを話す宮城代表。「活動が当事者自身の自信につながるようにしたい。浦添を沖縄一花がたくさんある地域にして『浦添のはちみつ』をPRしていきたい。今後は港川自治会と連携し、公民館を利用する子どもたちと大学生ボランティアとの縦のつながりもつくっていきたい」と力を込める。
 (中川廣江通信員)