防衛力強化の政府方針「支持しない」51.9%、「支持する」は24.4% 沖縄県民世論調査 「反撃能力」保有は「反対」55.6%、「賛成」25.1%


この記事を書いた人 Avatar photo 瀬底 正志郎

 防衛体制強化の方針を盛り込んだ安全保障関連3文書の決定を受け、琉球新報社とJX通信社は28、29の両日、県民を対象とした世論調査を実施した。南西諸島の自衛隊配備強化など、防衛力強化を打ち出した政府方針に対して、過半数の51.9%が「支持しない」と回答し、「支持する」とした回答を27.5ポイント上回った。防衛費の増額は6割超、増税は7割超が反対し、安全保障体制を抜本的に変える政府の方針に対し、県民の支持や理解が広がっていない現状が浮き彫りとなった。

 他国のミサイル基地などをたたく反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有に関し、昨年12月に共同通信社が実施した全国調査では「賛成」が50.3%で反対を上回ったが、県民調査では過半数の55.6%が「反対」と回答し、賛成を30.5ポイント上回った。全国と沖縄で賛否の割合が逆転した形となった。

陸上自衛隊と共に訓練展示に参加する米海兵隊の(奥左から)JLTVとハイマース=2022年11月6日、那覇駐屯地(又吉康秀撮影)

 さらに、県民調査は防衛費増額に関し、全国調査比で7.8ポイント高い61.4%が「反対」、防衛予算をまかなう増税方針は同比9.1ポイント高い74%が「支持しない」と回答。安全保障の最前線に立たされる県民の中で、さらなる防衛力強化、関連する政策に対し反対意見が強い傾向が示された。

 今回の調査で、南西諸島への自衛隊配備強化を巡り、「賛成」は28.7%、「反対」は54.2%、「どちらとも言えない」は17.1%。「賛成」の理由は「抑止力の強化につながる」が42%で最も高く、「反対」の理由は「沖縄が他国の標的にされる」が59.3%で最も高かった。

 反撃能力の保有に伴う周辺国との関係について、「緊張は高まる」との回答は61%、「変わらない」は18.4%だった。沖縄への自衛隊ミサイル部隊の配備について、「抑止力につながる」との回答は25.9%、「抑止力につながらない」の回答は56.5%だった。

(池田哲平)

 調査の方法=JX通信社(東京)と共同で28、29日に実施。コンピューターで無作為に発生させた番号に自動音声で電話をかけるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)法で行い、806人から回答を得た。