夫婦関係や交通事故、遺産分割…トラブル解決に 裁判より簡単な「調停」とは 沖縄協会連合会発足50年


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実際に調停が行われる部屋で調停制度について説明する調停委員の齋藤栄さん(右)と高田浩司さん=2022年11月、那覇簡易裁判所

 沖縄調停協会連合会が今年3月、発足50周年を迎える。昨年10月には調停制度100周年の節目を迎えた。裁判よりも簡単で、安く紛争の解決を得られる調停制度。県内の調停委員は「もっと調停制度を知ってもらい、利用してほしい」と呼びかける。

 調停は、裁判官と民間から選ばれた調停委員で組織する「調停委員会」が当事者双方の言い分を聞き、話し合いや当事者の合意によって問題の解決を図る手続き。

 調停委員は弁護士や司法書士、税理士、公務員、教師、一般企業退職者や専業主婦などさまざまな分野の経験者の中から最高裁判所が任命する。県内の調停委員の人数は毎年200人前後で推移している。

 調停は、お金の貸し借りや交通事故の損害、近隣関係などのトラブルに関し簡易裁判所へ申し立てをする「民事調停」と、夫婦関係の調整や婚姻費用や養育費の請求、遺産分割、親権者の変更などに関し、家庭裁判所へ申し立てをする「家事調停」がある。全国的に民事調停の数は減少傾向にある。2021年の県内の調停数は2559件あり、このうち民事は490件、家事は2069件だった。

 調停にかかる費用は数千円で抑えられることが多い。また裁判と異なり非公開で進められるため、関係者の秘密やプライバシーが守られるといったメリットがある。訴訟ほど手続きが厳格ではないため、解決までの時間も比較的短く済む。当事者双方の合意で調停が成立すれば調停調書が作成され、確定判決と同じ効力が発生する。

 また21年12月(那覇では22年10月)からは、家事調停に限ってウェブ会議も導入された。相手方と直接顔を合わせたくない人や、離島などに住み裁判所に出頭できない人でも調停に参加しやすくなるなど、時代に合わせて変化を続けている。

 調停委員の齋藤栄さんは「調停は裁判以外の話し合いの手段で、当事者の意向に沿った柔軟で円満な解決を図ることができる。まずは調停という選択肢があるということを知ってほしい」と話した。

 問い合わせは沖縄調停協会連合会、電話098(855)1694(水曜日を除く平日午前10時~午後5時)。
 (嶋岡すみれ)