「相棒」とまた外へ 1年半ぶりに盲導犬と生活 外間さん「毎日が楽しい」 沖縄・那覇市


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 視覚に障がいがあり、鍼灸(しんきゅう)院を経営する外間久生(ひさお)さん(68)=那覇市=が、約1年半ぶりに盲導犬と一緒に生活している。コロナ禍で盲導犬のトレーニングができなかった影響で、外間さんはしばらく、盲導犬のいない生活を送っていた。その間、歩道上の障害物にぶつかってけがをすることもあったという。盲導犬と一緒の日々に「毎日が楽しい」と喜んでいる。

給付を受ける外間久生さん(左から4人目)と盲導犬の武蔵=31日、那覇市の県身体障害者更生相談所

 外間さんに引き渡された盲導犬は2歳のラブラドルレトリバーの雄で、名前は武蔵(むさし)。福岡県の九州盲導犬協会で訓練を受け、昨年11月から那覇市にある外間さんの自宅で暮らし始めた。

 外間さんは30代半ばから視力が低下し、現在はわずかな光を感じる程度。2017年には当時2歳の盲導犬、ラブラドルレトリバーのレオと生活していたが、21年にレオが引退した。その後、約1年半の間で2度の事故に遭ってしまう。「いずれも点字ブロックに沿って歩行していたときに停車中の車にぶつかって転倒した」と振り返る。

盲導犬の武蔵

 1度目は夜間の外出中の事故で、暗くなってから外に出るのが怖くなり自宅にこもりがちになったという。次の事故では右手を負傷し、仕事に影響が出た。「武蔵がいてくれるおかげで安心して外を歩けるようになった。安全なだけでなく気持ちも明るくなった」とほほ笑む。

 31日には、県身体障害者補助犬育成事業の盲導犬給付式が那覇市内で開かれ、外間さんに武蔵が正式に引き渡された。

 式終了後にはデモンストレーションが行われ、武蔵が外間さんの指示に素早く反応し、障害物を避けながら歩行をサポートする様子が披露された。外間さんは「犬の世話ができるか不安という人もいると思うが、盲導犬との生活はいいことのほうがはるかに多い」と話した。

 式に同席した盲導犬訓練指導員の豊島めぐみさんは「訓練の成果がしっかり出ていてうれしく思う。外間さんが安全に生活を楽しめるよう役に立ってほしい」と笑顔で見守った。 (普天間伊織)