土地規制、与那国や宮古島など600カ所に拡大見通し きょう5都道府県で施行 国が利用状況の調査可能に


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 安全保障上重要な施設周辺や国境離島を対象とする土地利用規制法に基づく初の区域指定が2月1日、施行された。北海道、青森、東京、島根、長崎の5都道県の「特別注視区域」と「注視区域」の計58カ所で、政府は利用状況の調査が可能になった。特別注視区域では200平方メートル以上の土地売買契約が事前届け出制となり、違反すれば罰則が科される。政府は2024年ごろまで追加指定を進め、計約600カ所に拡大する方針だ。今後、特別注視区域には与那国島や宮古島など南西諸島にある施設や離島が追加指定される見通し。

 同法は、自衛隊基地や原発といった重要施設や、領海の根拠となる国境離島の機能を妨害する土地利用を防ぐのが目的。法案審議では、不当な権利制限や個人情報漏えいに懸念が示された。

 利用状況の調査は、不動産登記簿や住民票を収集し、土地・建物の所有者氏名や国籍などを把握。必要に応じて現地調査を行い、資料提出を求める。

 自衛隊機の離着陸を妨害する工作物の設置など、施設の機能を妨害する行為には中止勧告や命令を出すことが可能で、命令違反には2年以下の懲役か200万円以下の罰金が科される。

 高市早苗経済安全保障担当相は1月31日の記者会見で、調査について「人権侵害になるような内容ではない」と述べ、理解を求めた。

 注視区域は自衛隊施設や原発、自衛隊が使う空港などの周囲約1キロと国境離島が対象。特別注視区域は、その中から司令部や警戒監視機能を持つ施設などが選ばれる。58カ所のうち、日韓国境に近い長崎県対馬市は最多の19カ所が指定された。米軍施設の扱いも検討されている。
(共同通信)