【記者解説】米軍の対応は対症療法 オスプレイ不具合 危険を抱えたまま飛行


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普天間飛行場に駐機する米軍のMV22オスプレイ=6日、宜野湾市

 浜田靖一防衛相の会見発言で、米軍が垂直離着陸輸送機V22オスプレイで生じやすい不具合をシミュレーター(模擬飛行装置)に反映させて訓練して運用を続けていることが判明した。不具合がたびたび生じる根本的な原因は特定されておらず、米軍の対応は「対症療法」にとどまる。オスプレイ特有の構造的欠陥の可能性もある中、不具合が発生することを織り込んだ上でオスプレイの運用が継続されている現状が浮かび上がる。

 オスプレイの安全性を巡っては2012年の県内配備当初から問題視されていた。海兵隊は県内配備前の10年から不具合が起こる現象を確認していたが公表していなかった。米軍は機体に問題を抱えていることを隠したまま配備を強行し、日本政府は米軍の対応を追認し続けてきた。

 現在、米軍は一定の使用時間が経過したオスプレイの部品を交換するため、飛行を一部制限している。米軍普天間飛行場のオスプレイが飛行を再開すれば、トラブルの可能性を抱えた機体が再び県民の頭上を飛び交うことになる。

 基地と住民の生活圏が隣接している県内では、広大な米本国の演習場などと違って緊急着陸にも危険が伴う。特に普天間飛行場周辺には住宅や病院、学校が密集する。操縦士がシミュレーターで不具合が起こった際の対処を学んだとしても、実際に不具合が起こった際に降り立てる余地がなく、対応できない可能性がある。
 (明真南斗)