古里で初の落語 金原亭杏寿、師匠と「親子会」 万感の思いを込めてつとめ上げる


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 「金原亭世之介・杏寿新春親子会」が、1月8日と9日に開催された。杏寿は県出身の女性落語家として、初の二つ目昇進が決まっている。故郷で初めて開催する落語会を、万感の思いを込めてつとめ上げた。

(左から)「芝浜」を聞かせる金原亭世之介、「狸の札」を演じる金原亭杏寿=1月9日、糸満市のシャボン玉石けんくくる糸満

 8日の会場は那覇市ぶんかテンブス館。杏寿が沖縄にいた頃、演劇やお笑いライブをしていた場所だ。「二つ目になったらテンブスで落語をやりたい」と思っていたが、予期せずオファーが来たという。

 高座に上がった杏寿は深々とおじぎをした。「沖縄に帰って来ました」。涙ぐみながらあいさつをし「手ぬぐいって便利ですね」と目頭を押さえた。

 披露したのは「牛ほめ」と「熊の皮」。そそっかしいが憎めない男を、持ち味の人なつっこい語りで演じた。

 師匠の世之介は、杏寿の芸が「化ける」ようにと縁起を担ぎ「へっつい幽霊」などを演じた。人間くさい幽霊と、幽霊を恐れない男を巧みに演じ分けて観客の心をつかんだ。

 9日は糸満市のシャボン玉石けんくくる糸満で、世之介が「時そば」と「芝浜」、杏寿が「子ほめ」と「狸の札」を演じた。
 (伊佐尚記、藤村謙吾)