部活の地域移行、受け皿団体「把握」の自治体は1割に満たず 指導者と生徒で温度差も 沖縄県教委調査


この記事を書いた人 Avatar photo 瀬底 正志郎
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 教員の負担が大きな課題となっている部活動で、公立中学校運動部活動の地域移行を巡り、沖縄県教育委員会による検討会議は8日、県や県中体連が指導者や生徒、保護者、自治体へ実施した調査結果を公表した。自治体は41市町村中24市町村が回答し、地域で受け皿となる団体を「把握している」と回答したのは1割に満たない2自治体のみ。約9割は「把握していない」「調査中」と回答した。受け入れ体制の整備が進んでいない。中学生・保護者・指導者の意識調査では、指導者の約8割が地域移行におおむね賛成しているものの、生徒と保護者は半数以上が反対や分からないとする回答で、温度差があることも分かった。

 自治体への調査は2022年12月末から1月中旬にかけて、県文化観光スポーツ部が調査した。受け皿となる団体を「把握していない」が12自治体(50%)、「調査中」が10自治体(42%)だった。回答数が少ない背景には、自治体内で担当部署が定まっていない状況がある。一方、スポーツクラブなどへの調査では57団体が回答した。16団体が「受け入れ可能」、41団体は「検討を要する」と答えた。別の設問で、人材、報酬、施設設備などに課題があると答えた。

 県中体連は22年11月に、県内全ての中学生・保護者・運動部の指導者にウェブアンケートを実施。生徒2784人、保護者2083人、指導者989人から回答を得た。

 「休日の地域部活動移行についてどう思いますか」の設問に、指導者は「賛成」が51.4%、「どちらかというと賛成」が28.5%だった。生徒は「分からない」が半数以上の54.3%だった。保護者も「分からない」が最多で38.9%だった。指導者は「休日の地域部活動移行を実施することで教員の負担は減ると思いますか」という別の設問で、「減ると思う」「どちらかというと減ると思う」と答えた割合が計78%に上り、地域移行による業務負担軽減への期待は大きい。

 休日の部活動移行とその内容について、聞いたことがあるかを問う設問では、生徒の9割以上が「聞いたことがない」「よく知らない」と答えた。保護者も7割超が同様に答えていて、周知不足の側面が見えた。

 調査結果は、同日に沖縄市で開かれた「第3回県運動部活動の地域移行に関する検討会議」の中で公表された。

 (嘉数陽、吉田早希)