元外務省国際情報局長である孫崎享さんの講演会「平和的解決をめざして―ウクライナ問題から台湾問題へ」(沖縄の「基地と行政」を考える大学人の会主催、琉球新報社など共催)が10日、那覇市泉崎の琉球新報ホールで開かれた。孫崎さんは、各問題の和平に向けて「沖縄が軸となり、どうしたら平和をつくれるかを発信する。沖縄から本土に知らせる力になってほしい」と訴えた。
日本が現在、敵基地攻撃能力などの議論を進めていることに危機感を示す孫崎さん。第2次世界大戦で日本は真珠湾攻撃に成功するも、その後は沖縄などで大きな被害が出たとして、「敵基地攻撃で日本の安全は保たれない」と強調した。
米国がウクライナへ短距離のミサイルを提供する一方、日本は沖縄で長距離のミサイルを配備しようとしているとして「もう一回(沖縄を)戦場にしようとしている」と指摘。日中関係については、日本政府だけに対応を任すのではなく、沖縄が和平に積極的に関わることを提言した。
ウクライナ出身で、民俗楽器バンドゥーラ奏者のカテリーナさんによる「平和への願いが聞こえますか」と題した演奏と歌の披露もあった。家族や友人らがウクライナにいるカテリーナさんは「毎日心配です」と話した。
(金良孝矢)