島田叡元知事の美化を疑問視 「建国記念の日」反対集会 沖縄


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沖縄戦時の知事・島田叡氏をたたえる動きに疑問を呈する研究者ら=11日、那覇市古島の教育福祉会館

 「建国記念の日」の11日、沖縄県憲法普及協議会などが主催する反対集会が那覇市古島の教育福祉会館で開かれ、オンラインを含めて約90人が参加した。「歴史の真実を次代へ」と題した報告では、研究者らが沖縄戦時の官選知事・島田叡(あきら)氏をたたえる近年の動きに対して疑問を呈した。

 元琉球新報社論説委員長の野里洋さんは、日本軍の要求に沿って、島田氏が住民の北部疎開、戦闘動員などを進めたと解説。「人格的に優れた人だったと思うが、実績と別に考えるべきだ」とし、映画「島守の塔」をはじめとした人格を強調して島田氏をたたえる動きに疑問を投げ掛けた。

 沖縄国際大非常勤講師の川満彰さんは、住民の北部疎開に対する島田氏と前任の泉守紀氏の姿勢を比較。泉氏が想定していた住民の移動、食糧を巡る混乱が島田氏の下で現実となったことを指摘し「失敗だった」とした。

 琉球大教育学部教授の山口剛史さんは、ロシアの侵攻によってウクライナで起きている国民動員と沖縄戦下の住民動員を比較。国民・住民が戦争に協力せざるを得ない状況がつくられていると指摘した。

 山口さんが行った高校生対象の授業では、攻められたら戦うという生徒が4割だった一方、人を殺す戦争に拒否感を示す生徒が6割いたことに言及。「『反対しても戦争は止められない』という子どもたちの実感・疑問に応えるような授業、教育をつくっていくのが大人の責任だ」とした。

(安里周悟)