沖縄の市町村長、半数がミサイル部隊配備を拒否 防衛強化は支持14人、不支持9人<安保3文書・首長アンケート>


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 日本の防衛体制強化の方針を盛り込んだ安全保障関連3文書の閣議決定を受け、琉球新報社は県内41市町村長を対象にアンケートを実施した。安全保障政策を転換させ、防衛力強化を打ち出した岸田首相の方針について、「支持する」が14人(34・1%)と「支持しない」の9人(22%)を上回った。残りの18人(43・9%)は「分からない・無回答」だった。敵基地攻撃能力を有するミサイル部隊が打診された場合の対応については、「受け入れる」と回答した首長はおらず、「受け入れられない」は20人(48・8%)だった。防衛力の強化は認めつつも地域への影響が大きいミサイル部隊の配備については慎重姿勢が目立った。

 防衛力強化に伴う防衛費の増額については賛成、反対いずれも10人で、反撃能力の保有については反対9人(22%)、賛成8人(19・5%)だった。いずれの質問も半数を超える首長が「分からない・無回答」とし、態度を明らかにしなかった。一部は国会での議論や国民への説明が足りないことなどが理由だと記述したが、理由を明示しない首長も一定数いた。

 ミサイル部隊の配備について「どちらとも言えない」と回答した首長の中には容認に含みを持たせる首長もいた。桑江朝千夫沖縄市長は「住民の安心・安全につながるのであれば、検討する可能性はある」とし、比嘉朗渡名喜村長は「基本的には抑止力の強化のため受け入れる。当然だが、住民投票などに付して検討する」と回答した。

 防衛力強化の方針を支持する首長からは「隣国の軍拡に歯止めがかからない状況では、防衛力強化もやむを得ない」(當眞淳宜野座村長)など、東アジアの安全保障情勢を理由に挙げる意見が多かった。

 不支持派からは「国民的議論が行われていない」(浜田京介中城村長)や「防衛力強化が逆に国間の緊張感を高める恐れがある」(渡久地政志北谷町長)などの意見が出た。「分からない・無回答」を選んだ首長からも議論が必要との意見が上がった。

 調査はアンケート用紙を1月20日までにファクシミリやメールで送付、全首長から回答を得た。回答全文は本紙ホームページで閲覧できる。(吉田健一)

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