JAおきなわは13日、沖縄県伊是名村の製糖工場から糖蜜が流出した問題に関する記者説明会を那覇市のJA会館で開き、最大で310トンが水路にあふれ出たとの推定を示した。糖蜜の廃棄など一連の作業の判断は現地の職員が行い、報告体制が整っていなかったことや、廃棄場所の許容量を正しく認識していなかったことで流出が生じたとした。糖蜜を廃棄する原因となった糖蜜タンクへの温水の混入も、バルブの閉め忘れによるものだった。
前田典男理事長はJAおきなわ側の人為的ミスであったことを認め、「大変申し訳ない。真摯(しんし)に受け止め再発防止策を検討している」と謝罪した。対象の職員への処分はJAの規定に沿って検討している。
海に流れ出た糖蜜で被害に遭った養殖アーサの生産者とは、被害補償額の調整を行っている。環境調査会社を通して近海8カ所での海洋調査を行っており、分析結果が届き次第報告するとした。
県環境部環境整備課は「JAおきなわ側とやりとりしている段階で、廃棄物処理法に抵触するかも含めて確認している」と話した。
JAおきなわによると昨年12月20日、糖蜜と水を混ぜて柔らかくする「振蜜タンク」から糖蜜タンクへのパイプが詰まっていることが確認された。詰まりを取るためパイプに温水を流し入れたが、バルブの閉め忘れにより160トン超の温水が容量千トンの糖蜜タンクに混入した。
その日のうちに温水を取り除いたものの、1月31日に、一度温水が混ざってしまった糖蜜は買い取れないと業者から連絡を受けた。このため、642トンあった糖蜜の処分を決めた。畑の肥料として農家に無償提供を呼び掛けて52トンを畑にまき、工場近くの「沈砂池」と呼ばれる用地に計530トンを投入した。
沈砂池について、現地の職員は約900トンの許容量があると認識していたが、実際は220トンを超えると水路に流れ出す仕組みだった。最大で310トンがオーバーフローしたとみられる。
沈砂池に残った220トンの糖蜜は、サトウキビの葉がら(トラッシュ)に吸わせて回収、保管している。糖蜜タンクには2月6日時点で420トンの糖蜜が残っているが、来期の製糖が始まる12月までに、これらの糖蜜を処分する必要があるとしている。
(與那覇智早)