手作りテーブル「母校へ恩返し」 くぎやねじを一本も使わず 沖縄工業高生が大里中へ寄贈


この記事を書いた人 アバター画像 琉球新報社
恩返しの思いを込めて完成させた会議用テーブルを母校に贈呈する製作者の五十嵐未来さん(左から2人目)とテーブルを受け取る大里中の屋良直子校長(左端)=3日、南城市大里の市立大里中学校(提供)

 【南城】沖縄工業高校(大城栄三校長)建築科3年の五十嵐未来さんが3日、母校の南城市立大里中学校(屋良直子校長)を訪れ、課題研究の授業で製作した木製の校長室用会議テーブル(6人がけ)を贈呈した。高校での学びの集大成として建築科で身に付けた知識や技術を生かし、「母校への恩返し」をテーマに約1年かけて1人で完成させた。

 校長室で作品を贈呈した五十嵐さんは「中学時代に先生方が自分の成長を見守ってくれた。使う人みんなを見守るテーブルであってほしい。使ってもらえると思うとわくわくする」と感謝の気持ちを述べた。

 五十嵐さんは屋良校長らへの聞き取り調査から始め、研究、製作に取り組んだ。テーブルは縦180センチ、横100センチ、高さ72センチで2種類の集成材を使用した。異なる色の木を組み合わせることでデザイン性を持たせ、くぎやねじを1本も使わない技法で仕上げた。くぎを使用しないため、テーブルの天板と足を組み立てる際に隙間をなくすのに工夫や苦労があったという。椅子に座って作業しやすい高さを考えた。

 4月から県外で大工職として一歩を踏み出す五十嵐さんは「高校での学びを生かし、地域の人に信頼される職人として数多くの家を建てて、家具も作っていきたい」と力を込めた。作品の完成を見守った建築科の比嘉純朝教諭は「卓球ができるほどの大きな作品。時間がかかったが丁寧に作り、かなり精度が高い」と評価した。

 テーブルを受け取った屋良校長は「テーブルの角を丸くして、触り心地をよくするなど気遣いと配慮がある。生徒に先輩の作品であることを伝えながら大事に使わせていただく」と感謝した。(中川廣江通信員)