「歴史に名を刻む方だ」「尊敬の思い」空手・喜友名さん引退、県勢メダリストらからねぎらいの言葉


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 沖縄発祥の空手で頂点を極め、自国開催の東京五輪で金メダルを獲得、県民栄誉賞を受賞した喜友名諒さん(32)が引退を発表した。共に東京五輪に出場した県出身アスリートや母校の関係者らは、トップを走り続けた喜友名さんの功績や人柄をたたえ、労をねぎらった。

 喜友名さんと共に2021年の東京五輪に出場し、レスリングで銅メダルを獲得した屋比久翔平さん(28)は、自身の試合終了後、選手村で喜友名さんから「おめでとうございます」と声をかけられたという。「優しい紳士的な方だった」と印象を語る。喜友名さんの決勝の演武を画面越しに見て、「どれだけ練習したらこの境地に達するのだろうかと、尊敬の思いが湧いた」と振り返る。

児童に空手を教える喜友名諒さん=2017年8月、沖縄市の大里公民館

 引退のニュースに驚いたというが、普段からSNSなどで後進の指導に力を入れている姿を見て、「僕もそういう風になれたらいいなと思う。長年世界のトップで戦い、歴史に名を刻む方だ」と話した。

 東京パラリンピック車いす陸上銅メダリストの上与那原寛和さん(52)は「揺るがない自分を築いている姿が(車いすテニスの)国枝慎吾さんのようだと感じていた。力尽きたというよりは、一番上まで行って、やるべきことをやり切ったのだと思う」と、引退を決めた気持ちをおもんぱかった。

 興南高校の我喜屋優理事長・校長(72)は同校卒業生の喜友名さんの引退について「目標を達成し、これからの道を考えての決断だと思う。ご苦労さまでした」とねぎらった。「後輩に頑張る姿を示してくれた」と喜友名さんに感謝を抱きつつ「次を継ぐ人材育成を使命として頑張ってほしい」とエールを送った。
 (稲福政俊、中村優希、中村万里子)