残業「過労死ライン」超えの教職員、延べ909人 那覇市立の小中、21年度 減少も目標達成できず 沖縄


この記事を書いた人 Avatar photo 瀬底 正志郎
イメージ

 沖縄県那覇市の市立小中学校で、健康障害のリスクが高まるとされる「過労死ライン」の月80時間以上の時間外勤務をした教職員の延べ人数と割合が年々減少していることが市のまとめで分かった。ただ、市が定める働き方改革の目標数値は達成できておらず、市は引き続き教員らの負担減に取り組む考えだ。

 市によると小学校は2019年度に582人(4.4%)、20年度525人(3.8%)、21年度389人(2.9%)だった。中学校は19年度882人(12.1%)、20年度676人(9.1%)、21年度520人(6.8%)だった。

 市教育職員働き方改革推進プランでは、月80時間超の時間外勤務をした教職員の年間延べ人数を、20年度は19年度から30%削減し、21年度は19年度から60%削減することを目標としていた。

 市の担当者は年々減少していることについて「対策の効果が出ている」としつつ、依然として時間外勤務が多いことから「引き続き負担軽減に取り組む」と話した。

 市は業務負担を軽減するため、校務支援システムの導入やスクール・サポート・スタッフ、学習支援員などの人的支援などに取り組んできた。現在は全小中学校に対して産業医1人で対応しているが、今後は職員数50人以上の全学校に産業医を配置する予定。

 市教育職員働き方改革推進プランの期間は20~21年度だった。同プランの改定などをする学校業務改善推進委員会が新型コロナの影響で開催できず、現在は県のプランの目標を準用している。市は10月をめどに新プラン策定を目指している。
(伊佐尚記)

【関連記事】

>>連載「先生の心が折れたとき」

▼沖縄の教員、精神疾患での休職が199人 過去10年で最多

▼教職員のメンタルヘルス対策へ「働き方改革推進課」新設 沖縄県教委

▼沖縄県内の教員96人不足 22年10月時点、代替人員の確保難しく

▼教員「ドミノ倒し」 担任不在、カバーで過重労働 専門外授業が常態化