【沖縄】友情は国境を越えて-。沖縄の日本復帰以前に姉妹校として交流があった沖縄市立山内中学校と京都府木津川市立泉川中学校が6日、58年ぶりに交流を果たした。両校は沖縄が米軍統治下にあった1964年に姉妹校となった。70年ごろまで文通や修学旅行などを通して、生徒間や職員間で“国境を超えた”交流が続いていた。
昨年、両校の交流がうかがえる写真や文集が泉川中で見つかった。1965年の新聞記事には「訴える『祖国復帰』」という見出しで、山内中生徒の作文が泉川中に届いたことが報じられている。作文には同年に読谷村の集落に米軍のパラシュート訓練で投下されたトレーラーが落下し、小学生女児が死亡した事故について書かれていた。米統治下を生きる、当時の沖縄の子どもたちの葛藤や平和への思いがつづられていた。
資料発掘を機に泉川中が山内中に交流再開を持ちかけ、実現した。泉川中は交流再開に向け、総合学習で平和・歴史学習委員会を設立し、沖縄のことを調べているという。
6日は交流再開の第1弾で、両校の代表生徒らがオンラインでつながり、合同で道徳の授業を受けた。バスケットボール漫画「スラムダンク」を題材に、思いやりや感謝の心を育む内容となった。
交流を終えて山内中2年の生徒(14)は「交流の歴史を知りたい。沖縄と京都の文化にも触れたい」と目を輝かせる。泉川中2年の生徒(14)は、「歴史的な交流に参加できて良かった。この交流を必ずつなげていきたい」と力を込めた。
両校の生徒は今後も交流を続けるために、文通や吹奏楽部同士のセッション、漫才大会などアイデアを出し合った。
山内中の伊波寛仁校長は「文化や考えの違う生徒同士がつながることで、世界が広がるはずだ。節目節目に交流を続けていきたい」と話した。 (石井恵理菜)