10年以上にわたって夫からのドメスティックバイオレンス(DV)被害に苦しめられた女性が18日までに琉球新報の取材に応じた。日常的に元夫から暴言や暴力を受け、子どもの前で殴られることもあった。行政の窓口への相談をきっかけに家を離れ、その後離婚。「当時は『子どものために耐えるしかない』と思考停止していた」と振り返り「もっと早く相談しておくべきだった」と悔やんだ。
30代で結婚した女性は、夫との間に長男と長女を授かった。子どもの前で女性を怒鳴ることや殴ることは日常茶飯事で、「しつけ」と称して子どもに手を上げることも。騒ぎで周囲に通報されたこともあったが、警察官に被害を訴えることはできなかった。
女性の給与や行動を全て管理。女性が物を買うと理由を問いただし、帰宅時間の「遅れ」を執拗(しつよう)に責めた。「夫からもらったバス賃は使わず通勤の行き帰りは歩いた。それでお菓子を買った。そうでもしないと子どもに買ってあげられなかった」。2人の子どもとともに常に夫の顔色をうかがいながら生活していた。
女性は離婚を避けていた理由に「母子家庭で育ったので父親像が分からず、理不尽なことをされても『こんなものか』と。家を出るにも、頼れる場所もなかった」「子どもから父親を奪いたくなくて我慢していたところもあった」と語る。
離婚を決意したのは、長男に対する激しい暴力だった。夫は自分の意見を長男に押しつけ、応じないと殴る蹴るの暴行を加えた。女性は「もう無理だと思った。行政に設けられたDVの相談窓口に通い、家を出る道筋を計画した」と語る。相談してから2カ月後、夫の目を盗んで子ども2人を連れて家を出た。
現在、元夫から離れて暮らす女性は「家族の笑顔が増え、人生が楽しい。『なぜ早く動かなかったのか』と今更ながら後悔している」と話した。