続・性的同意 東さよみ(助産婦)<未来へいっぽにほ>


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 産婦人科で「おめでたですよ」と告げられたとき、もろ手を挙げて喜べる妊娠は、全妊娠の3割といわれています。日本社会は、妊娠出産育児に対してまだまだ寛容ではありません。男性の育休取得率も思うようには上がらないですね。妊娠すると多くの女性は「仕事をどうしよう?」「上の子どうしよう?」「わが家の経済状況…」と、いろいろな心配が頭をよぎるのではないでしょうか。

 動物の1日は食事と睡眠と生殖だけで時間が構成されています。ゴリラやチンパンジーは一度出産すると5年間子育てに専念し、その間は交尾をしません。繁殖が難しいとされるパンダは、1年のうちに発情期が2日だけしかないそうです。それに対して、ヒトは一年中いつでもセックスができます。ヒトのセックスは目的が生殖だけではないからです。温かな関係を育むとか、コミュニケーションという考えもあるでしょう。本来は豊かな関係を育むはずの性が、時には暴力や搾取のために使われてしまうことがあります。鳥類やネズミやリスの小動物も求愛行動がありパートナーへの性的同意を確認します。動物の中でレイプがあるのはヒトと一部の高等動物だけだといいます。進化を遂げ言葉を獲得したはずのヒトが、きちんとした性的同意が取れないのはなぜでしょう。

 一人ひとり、からだもこころも大切です。手をつなぐ、ハグ、キス、大切なからだとこころに触れるとき、触れられるとき、相手との同意が必要です。例えばNOであっても「あなたが嫌いなわけじゃない」と、きちんと伝える練習を、子どもたちと一緒に学びたいと思っています。