贈り物の雪に感激して沖縄から北海道に…今度は自分がプレゼント 古里の保育園に雪を贈った男性の思い


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贈られた雪に喜ぶ児童ら=13日、名護市宇茂佐のラ・ラ・ラ保育園

 【名護】「古里の子どもたちに雪を見せたい」。名護市内の保育園など計31か所の園児約2千人に13日、同市出身の上地隼さん(25)=北海道=らから雪が届いた。初めて雪に触れた子どもたちは大はしゃぎで、北国からのひんやりと冷たい贈り物の感触を楽しんだ。
 石狩市で削蹄師として働く上地さんは、自身が保育園児の頃に雪を贈られて感激した思い出から、昨年、沖縄に雪を贈るプロジェクトを開始した。昨年は名護市内の保育園4カ所の約300人に約240キロの雪を届けた。

 今年は名護市出身の同級生で北海道在住の大城幸太朗さん(25)と濱川栄一さん(25)も協力し、昨年の7倍に当たる1750キロを贈った。クラウドファンディングで集めた126万円と、上地さんと仕事で付き合いがある2社が提供した協力金を合わせた約140万円で送料などを賄った。雪を発泡スチロールに詰める手作業は、北海道に住む県出身者約10人が呼び掛けに応じ協力した。

 名護市内のラ・ラ・ラ保育園では13日、ブルーシートとプールに上地さんらが雪と雪だるまを広げると、園児から歓声が上がった。保育士に促されると班ごとに手や足で触ったり、飛び込んだりした。戸惑っていた園児も、おそるおそる触ったり投げたりして「冷たい」「寒い」と笑顔で遊んでいた。園児(4)は「冷たかった。足で踏んだら凍る感じだった」と喜んだ。

 上地さんは「いつか自分でお金をためて北海道を訪れ、本物のパウダースノーを体感してほしい」と笑顔を見せた。「自分が幼い頃、贈り物の雪に感激して北海道を目指したように、20年後、古里に雪を贈る若者が出てくれたらうれしい」と期待した。プロジェクトは来年以降も継続する。

(岩切美穂、増田健太)